2015.11.12(木)

Happy Halloween!

【陛下×夕鈴】
【臨時でも本物でも妄想ひとつで自由?】



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《Happy Halloween!》



「とりっくおあといぃとですか?」

「trick or treatです。」

夕鈴は、お妃教育にやって来た李順にHalloweenの事を教わっていた。

「とぅりく?…とぅりっくor……??」
「……まぁ発音はこの際、重要ではありません。」
「はあ……。」

「どうやら陛下が異国の行事を随分とお気に召されたようでしてね。
Halloweenと言うものだそうですよ。
そして、子供達はその日妖怪や幽霊などに扮し、trick or treatと言いながら家々を回りお菓子を貰うのだそうです。」

「面白い行事ですねぇ!!
とりっく…はお菓子を貰える言葉なんですか?」
「trick or treat。意味は、お菓子をくれないとイタズラするぞ、だそうですよ。」
「ふふっ!!強気な台詞ですね。
子供達がそんな事言いながらお菓子を貰うなんて、可愛い♫」

「子供が言うなら……ですけどね。」

「え?」

「恐らく陛下はお妃様に言うつもりだと思いますよ……。
まぁ、そんな事になってますので、後で何か作っておかれると良いでしょう。
厨房を使っても構いませんので。」

「本当ですかッ??」

「大きな声を出さない。表情も崩さない!」
「はっ!はーい。」
「ハイは短く。」
「はい。」

李順は大きく頷き、眼鏡の位置を直すと分厚い本を取り出した。

「では、その前に昨日の復習から参りましょうかね。」
「……はーい。」

「ハイは、短くッ!」
「……はい。」





そして夜。

「夕鈴、待たせたか?」

にこやかな狼陛下が夕鈴の元へとやって来た。

「おかえりなさいませ、陛下!」

「いつも以上に可愛らしい笑顔だ。……何か良い事でもあったか?」
「は……はい。」

陛下は片手で女官達を下げながら、夕鈴をそっと抱き寄せた。


長椅子に仲良く座り、夕鈴はお茶を入れながら今日の出来事を報告した。
「で、李順さんが許可をくれて……カボチャスープを作ってみました!
夜食に如何ですか?」

「夕鈴のお手製!?嬉しいよ!」
ご機嫌な陛下に、夕鈴も嬉しくなる。
「あ、でもね!その行事はそれだけじゃないんだよ。」
「ふふふ、はい。」
「もしかしてtrick〜って合言葉も聞いた?」
「李順さんが教えてくれましたから。ちゃんとその用意もしてますよ♫」

「本当??
じゃあもう少し後でと思ってたけど。
……trick and treat!!」

「はい!どうぞ!!」
待ってましたと言わんばかりの笑顔でお菓子を差し出す夕鈴。

ニヤリと笑う陛下。

「ありがとう夕鈴。
……美味しそうな兎だね。」
差し出したカゴの中には、カボチャを練り込んで作った兎の形のお菓子が入っていた。
「陛下に合わせて、甘めにしてみました!」
「……では、じっくりと甘い甘い兎を楽しむとしよう♫」


眼を細めて笑う陛下。

その表情を見た瞬間、背中を撫でられたようにゾクリと寒気がした。


「え??」

陛下は徐に立ち上がると、お菓子を持ったまま夕鈴を抱き上げ、攫うように寝室へと姿を消した。

「なんでぇ〜〜〜!!?」






「あ!陛下っ!?何……ッ!?」



「ちょっと待っ……そんな…やだっ!!」






「〜〜〜〜ッッ!!!!!」










trick and treat!

(お菓子をくれたらイタズラするぞ!)
│posted at 14:24:21│ コメント 0件
2016.01.15(金)

うさサンタゆーりん 1


うさぎサンタ


【パラレルファンタジー】【絵本のノリ】【陛下狼王様・夕鈴兎サンタ】


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『うさサンタゆーりん』



夕鈴は元気いっぱいの兎の見習いサンタです。
生まれ故郷の白陽国王都を担当。

クリスマス・イブの深夜。

王都中の子供たちにプレゼントを配り終え家に帰ろうとした時、サンタ協会から無線連絡がありました。
どうやら王宮にもプレゼントを待っている子がいるとの事。
「王宮?確か子供はいなかったはずだけど・・・。」
そう言いながら袋の中を確認します。
袋の中にはまだこんな時の為の予備プレゼントがいくつか入っていました。
『おーい、ゆーりんとやら。聞こえておるかの?早く配りに来てくれんかのう。』
「え??来てくれんか・・・?」
『あー、いや、違う違う。"配りに行ってくれんかの"と言ったんじゃ。』
「・・・?まあいいわ。わかりました行ってみます。」
夕鈴はトナカイにお願いして王宮に連れていってもらいました。

「確か王宮の一番奥って言ってたわね・・・。」
夕鈴は王宮の一番奥の建物横にある広い庭に舞い降りました。

その時・・・。

「今じゃ!!」
ビュッと音がしたかと思うと、大きな網が目の前に広がるのが見え……。

あ・・・という間に、夕鈴は怪しげな二人組に捕えられてしまいました。

「いや~~~!!!なにこれなんなの~~~!?」
夕鈴が倒れたままバタバタと手足を動かしていると、ふと頭上から聞いたことのある声がしました。
「暴れるでない。別に危害を加えるつもりはないから安心せい。」
そこには夕鈴よりも小さいお爺さんが立っていました。
「・・・?あなたの声どこかで・・・。」
「さっきこの声聞いたとこだもん。そりゃあ聞き覚え有るデショ。」
お爺さんの横にいた、これまた夕鈴よりも小さそうな男の子が楽しそうに笑っていました。
「ああーー!!さっきの無線・・・もしかして・・・!?」
「ふぉっふぉっふぉ。お前さんを呼び出す為にちょっと細工をさせてもらったのじゃ。」
「……呼び出す?」
「実はお願いがあってのう・・・。この国の王の事は聞いたことがあるかの?」
「余り詳しくは知らないけど、冷酷非情の狼陛下よね……。」
「そう、その通り。国王は冷酷な狼陛下じゃ。だが・・・、それだけではない!!」
「え・・・??」
「陛下は・・・妃を娶らぬ極度の女嫌い陛下なのじゃ!!!!」ドーン

「・・・へー。」遠い目

「今まで、王都中の娘を呼んで何度も大々的なお見合いもしたが、誰一人陛下にお声をかけられた娘はおらんかった……。」

・・・そういえば。

夕鈴は1年ほど前にそんな話を王都に住む弟からの手紙で読んだ事を思い出しました。

「もう・・・ここ等にはサンタ見習いで見合いの時に王都から離れておったお主しか年頃の娘はおらぬ!
是非ともお主に陛下と会ってもらいたいのじゃ!!」

「はあああ??」

「頼む~!この老い先短い哀れな老人の頼みを聞いてもらえんか~~!!?
何としても陛下が本当に女の子に興味がないのかどうか確かめたいんじゃ~~!!」
「ええ・・・?」

どうしよう・・・。でもお爺さんにはお気の毒だけどそんな怖くて女嫌いの王様のとお話なんて・・・。

怖すぎる!!

「あの・・・!申し訳ないんですけど、私には無・・・・むぐッ」
「はいはーい、ごめんね~。
"無理"は聞かないよ~♪」

「んむ!?んんうん〜〜ッ!!!!!」

夕鈴は後ろから猿ぐつわをされ、持っていた白い袋にスポッと入れられてしまいました。

「浩大、リボンはやっぱり桃色かのう?」
「いやいや、クリスマスっぽく金色がいいんじゃね?」

楽しそうな二人の話声を聞きながら、なぜか夕鈴は眠ってしまいました。



続く
│posted at 19:28:19│ コメント 0件
2016.01.15(金)

うさサンタゆーりん 2

やがて。


ドサリッ


夕鈴は何処かに運ばれ、置かれた衝撃で目が覚めました。

袋に入れられ、辺りの様子が全く分かりません。
オマケに何やら無理矢理眠らされていたようで、まだ身体が痺れて動けませんでした。

「怖い……どうしよう……このまま狼陛下に無理矢理会わされちゃうのかしら……。」

夕鈴は思わずポロポロと涙をこぼしました。

すると……。急に袋の外が少し明るくなり、誰かの声が聞こえました。

「……なんだ?コレ。」

誰……?

それは先程の二人の声とは違う、若い男の人の声でした。

「……まさか老師の仕業か?
も〜。あの爺さんはホント何考えてるんだか……。」

はぁ、と溜息が聞こえました。
どうやら……あのお爺さんの仲間ではなさそうです。
それによく聞いて見れば、優しそうな柔らかい口調の声でした。

夕鈴は悩みましたが、思い切って助けを求めました。
「ん……。んんうん〜……。」

「……。ナルホドね。」
また男の人の溜息が聞こえた後、ガサガサと音がして袋が開けられました。

「んん〜〜!!」
「!!」

そこには……驚いた表情の犬の青年が居ました。
青年は夕鈴の涙に気が付き、直ぐに猿ぐつわを外してくれました。

「ぷはぁ!!」
「大丈夫?……もしかして、無理矢理連れて来られたのかな?」
「う……はい……。ヒック。」
「そうか。もう大丈夫だよ、兎のサンタさん?」
その優しい言葉に、夕鈴はまたポロポロと泣いてしまいました。
そんな夕鈴を安心させるように、しばらくの間犬の青年が背中を優しく撫でてくれました。

ようやく落ち着いて来た夕鈴。

青年は、夕鈴に細かく話を聞きました。
「そうか、そうやってサンタの君はあの爺さんと少年に無理矢理袋に入れられちゃったんだね……。」
「うう……ッ!コワ…かった…!!」
夕鈴は袋に入れられた時のことを思い出し、また涙が出てきました。

「……よしよし、怖かったよね。
でも、もう大丈夫だから…泣かないで?」
犬の青年はそっと夕鈴を抱きしめて、袖口で涙を拭いてあげました。

それに驚いた夕鈴。
慌てて青年から離れましたが、びっくりしたおかげか涙は止まりました。
それを見て、青年も少しほっとしたようでした。

「助けて頂いて……本当にありがとうございます。
……でもこうやって話を聞いて貰ったら、段々あの二人に腹が立って来ました!!
人が出来ないって言ってるのに聞いてくれもしないで袋詰めにするなんて。酷過ぎます!!!
大体、冷酷非情の狼陛下に会えだなんて…無茶ぶり過ぎです!!」

うさぎサンタ2


ぷりぷり怒りだした夕鈴を見て、青年はクスリと笑いました。
「……とりあえず、君が元気になってよかったよ。]

そう言われて、夕鈴は初めてまともに青年の顔を見ました。
今までそんな事を考える余裕がありませんでしたが、青年はとても整った顔立ちの素敵な美青年。

そんな彼が、綺麗な赤い目を細めて夕鈴を見つめています。
夕鈴は先ほどまでの怒りが吹き飛ぶ程、ドキドキしてきました。

「あ…その…ありがとう。」
そういうと夕鈴は赤くなりながらもにっこり微笑み返しました。


犬の青年は目をまるくしました。

何故なら……夕鈴のように、怒ったり泣いたり裏のない笑顔を見せたりしてくれる女の子を、今まで見たことがなかったからです。

青年が見たことがある女の子は、どんな子も下心が透けた邪な目をしていて……。

でも。
目の前の兎の女の子はとても自然体で、泣き顔も笑顔も可愛くて……。
それに、先ほど抱きしめた時に触れた耳のもふもふ具合も最高に気持ち良かったな…と青年は頬を染めながら思いました。


いつの間にか、青年は夕鈴のことをとても気に入っていました。


「ねえ、そういえば君の名前は?…僕は黎翔。」
「あ、ごめんなさい!私は夕鈴って言います。」
「夕鈴、今日はもう遅いし外に出てまたあの二人に捕まってもいけない。
部屋を用意してあげるから朝までそこに隠れるといいよ。」
「え……、でも、ここには狼陛下がいるんでしょう??」
「うん、まあ、でも・・・」
「私……怖い…。」
よく見ると兎の耳がプルプルと震えています。
「そう……。じゃあ、僕が朝までそばにいてあげるから…。
それならどう??」
「……。」
夕鈴は真っ赤な顔で下を向きながらうなずきました。

それを見た黎翔の垂れた黒い耳と尻尾が、一瞬、スッと立ち上がりパタパタと揺れました。

うさぎサンタ3




まるで……狼のように。




夕鈴は知りませんでした。

国王である冷酷非情の狼陛下は黒狼だということを。

後宮で一晩陛下と共に過ごした娘は、どんな身分の娘であろうと妃として認められ、以後後宮で暮らさなければならないという法があることを。






数年後。

白陽国の後宮には、なぜかクリスマス近くになると姿を現さなくなるという兎のお妃さまが、狼陛下にそれはそれは大事にされ、幸せに暮らしておりました・・・。



めでたしめでたし





うさサンタ4

│posted at 19:36:18│ コメント 0件
プロフィール

えぐち

Author:えぐち
江口(。-_-。)と申します。
場合によって、漢字のみだったりひらがなだったり。
どうぞよろしくお願い致します。

当ブログは、原作・原作者様・出版社様とは一切関係がありません。
初めましての方は、『はじめに』をご覧下さい。

 
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