2017.06.17(土)

小犬陛下と饅頭屋 8-3

実は出来てました饅頭屋。

【パラレル】【もしも夕鈴が臨時妃の話を断ったら】【オリキャラ注意】


ーーーーーーーーーーー


朝日が部屋に差し込む。
天蓋から垂れる薄い布の隙間から、チラチラと柔らかい光が踊る。

それを感じながら微睡んでいると、ふと、名を呼ばれた…と思い目を開けた。

李翔さん、と。


………

夕鈴の夢を見た…気がする。

昨日、長い時間彼女と行動を共にしていたせいかもしれない。


そんな事を考えつつ、陛下はゆっくりと起き上がり朝の支度を始めた。

着替えの途中、愛らしい鳥のさえずりに惹かれ窓の外を見る。
見事な木々が茂る、手入れの行き届いた庭。

昨日、長い時間彼女と行動を共にしていたせいかもしれない。




それを見て、『清々しい』と思った自分に、陛下は少し戸惑った。


普段と変わらないはずの朝が、まるで違って見えるのは…やはり彼女のせいだろうか。


夕鈴の、誰に対しても分け隔てないあの優しさも、
元気いっぱいで生き生きとした表情も、
思い出しうる彼女の全てが眩く輝いていて……


陛下は口元を緩ませると静かに瞳を閉じた。


今日も……彼女はきっと元気に働いている。
私も自分のすべき事をせねば、な。
……。
とりあえず昨日は臨時妃に会ってないし、王宮に向かう前に夫婦演技しておくか。


深いため息の後、陛下は後宮の妃の部屋へと向かった。



妃の部屋へと続く回廊で侍女が陛下の姿を見つけ深く礼を取った。

「…急に妃の声が聞きたくなったのでな。」
「では、お妃様にお知らせして参ります。」
「いや…
陛下が話している間に突然、何かが割れる様な乾いた音が響いた。

陛下と侍女は音のした方へと視線を向ける。


場所は…妃の部屋のようだ。

「……!!」

何やら慌しくなる様子に、陛下は刺客でも来たのかと妃の部屋へと駆け出した。
侍女も慌ててその後を追う。

部屋に入るなり、
「なんて無礼な!!」

臨時妃の怒号が聞こえた

どうやら、粗相のあった侍女を叱りつけているらしい。

辺りに茶器の破片が散っている。


コレがさっきの音の正体か…
この前、僕も割ったなぁ。


ちらりと臨時妃を見ると、かなり立腹しているらしく、陛下にも気が付かず侍女を本気で睨みつけている。

臨時妃の表情が幼い頃に見た父の妃達に重なって見えた。


女はみな一緒か……。


いや……
……夕鈴は…違う。


夕鈴なら……笑って許すだろう。


『大丈夫ですか?』

火傷していないかと心配するあの時の真剣な眼差しが思い出される。


……夕鈴はそういう娘だ
…夕鈴ならきっと…

そう思った辺りで茶器の破片に構わず侍女が床に座り込んだ。
それを見た瞬間、無意識に体が動いていた。


侍女の側に立つ陛下。
突然目の前に現れた陛下に理解が追い付かず、臨時妃は酷く動揺した。


「へ…陛下ッ…!?」

「……今朝は愛らしい我が妃の声を聞きたいと思い来たのだが…。」

びくり、と臨時妃が震えた。
先程まで感情的に声を荒げていたのだから当然か。

「どうやら機嫌が…優れぬようだな。
……出直すとしよう。」

「あ……ちが……
何かを言いかけた臨時妃を遮るように、陛下は床に伏す侍女に立つよう声を掛けた。

「立て」
侍女はチラリと妃の方を見たものの、狼陛下の迫力に負けそろりと立ち上がった。

「…怪我はしておらぬな?」
侍女の目が丸くなる。
「は…い」

「では速やかに片付けるように。」
それだけ言い残し、陛下は部屋を後にした。
「かしこまりました…」
部屋にいる女官達が声を揃えて陛下の後姿に向かい返答するのを、臨時妃は放心状態で聞いていた。



その日、狼陛下の寵妃が後宮から忽然と姿を消した。

その噂は瞬く間に広がり、王宮内は静かに荒れる事になった。


気に入った侍女に手を出し嫉妬した妃が煩わしくなったのだとか
傲慢になった妃が無礼を働いたとか
単に飽きただけなのでは…などという憶測ばかりが飛び交う。


そして。

また…突然別の寵姫が現れた。



│posted at 17:29:45│ コメント 4件
≫コメント 
臨時妃はこれでさよならかな。
ここからお話がだんだん動いていきそう。
続きも楽しみに待ってまーす。
まるねこ│URL│posted at 2017-06-25(Sun)00:11│編集
まるねこ様

コメント、いつもありがとうございます😊✨
サクサク進む…と思いたいです(´;ω;`)
臨時妃さんAはさようならですが、BとCがこんにちわですよ〜!
えぐち│URL│posted at 2017-06-25(Sun)07:41│編集
ちょ、BさんとCさんって(笑)
ドコまで臨時妃が出てくるの??いっそのことZさんまで行きつくのか?!←

饅頭屋さ~~ん。。。思えば貴女を知ったのはコノ饅頭屋だった。。。ふと、入国日記を読み返してて思い出した記憶(笑)

待てるから!大人しく、大人らしく待てるから!!
続きヨロシクで~~す('◇')ゞ
行│URL│posted at 2017-06-27(Tue)15:44│編集
行様
コメントありがとうございます✨

大丈夫、Bさんは一瞬ですw

え、そうなんですか(*´ω`*)!
結構饅頭屋さんから~って言ってくれる方がいて嬉しいです✨
シリーズってやっぱ覚えて貰いやすいのかなあ?

頑張って完結目指したいと思いますw
えぐち│URL│posted at 2017-06-29(Thu)11:48│編集
≫コメントを書く







 削除や編集のときに必要です。
管理者にだけ表示を許可します。
プロフィール

えぐち

Author:えぐち
江口(。-_-。)と申します。
場合によって、漢字のみだったりひらがなだったり。
どうぞよろしくお願い致します。

当ブログは、原作・原作者様・出版社様とは一切関係がありません。
初めましての方は、『はじめに』をご覧下さい。

 
訪問者数