2015.11.26(木)

小犬陛下と饅頭屋 3ー2

「…君は…!?」

几鍔の子分達に絡まれていた先程の客は突然現れた夕鈴に驚いたのか、それまでののほほんとした表情が消えた。


「あんた達、何やってんのっ!!」
「お…オイ、お前こそ何やってんだ…退けっ!」
「!」
子分達が夕鈴に近付こうとした瞬間、客は夕鈴の手を引くと庇うように前に出た。

「きゃっ!」

急に手を引かれた夕鈴はバランスを崩してよろける。

その先には、建物の壁に沿って乱暴に山積みされた、割れた壺や大きな焼き物の欠片が……。


「危ないっ!!」

思わず子分達が同時に叫ぶ。


「えっ!?」
客は振り向くと、倒れそうになった夕鈴の肩に手を回し、素早く抱きとめた。
男の免疫など全くない夕鈴は、恥ずかしさから顔が真っ赤になる…。

「ってめえ!夕鈴に何しやがるっ!!」
「手を離せっ!」
「夕鈴に何かしたら…承知しねえぞっ!!」
夕鈴の危機かと誤解した男達は、一斉に殺気立った。

それを見渡して、客は戸惑いつつ夕鈴の顔を見つめた。

「もしかして……君、ゆうりん?」
「…はい。」

「じゃあ、この人達は……お知り合い?」
「…はい、そんな感じです。」

夕鈴は1つため息をつくと、ありがとうございますとお礼を言いながらお客から離れた。


そしてキッと男達を睨みつける!


「みんな落ち着きなさいっ!!
この人はウチのお客さんよ。怪しい人なんかじゃないわっ!!」

「夕鈴の…店の客…?!」
「そうよっ!」
「でも…この辺では見かけねえ奴だし…!」
「遠い所からわざわざ来てくれてるお客さんなの!子供達にも優しい人だし、人柄は私が保証するわっ!!」

殺気立っていた男達は夕鈴の話を聞き、漸く落ち着いた様だ。
戸惑った様子でコソコソと耳打ちし合っている。

「……かっこいいッ。」
そして何故かお客は頬を紅く染めている。


「でも…それなら尚のことちゃんと調べておかなきゃ…。」
「な、ん、で、よっ!!」
「え…。だってホラ…兄貴が…。」
「……何で几鍔が出てくんのよ。
とにかく怪しい人じゃないって言ってんの!
ホラ、これ差し入れあげるから。
他のもっっと怪しい人物を捕まえてよねっ!!」

夕鈴は几鍔の子分の1人にぐいっと差し入れの折を押し付けると、お客さんの袖を引っ張り一緒にその場を離れた。

│posted at 17:21:52│ コメント 0件
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