2015.12.19(土)

小犬陛下と饅頭屋 4-4

「それから、以前お話しされていた下町の傷害事件の件でひとつ気になる事が…。
商店の多い場所の近くで多く発生しているとのことですが、特に手酷く暴行を受けていた被害者達に1つ共通点がありまして。」
「共通点…?」
「はい。どの被害者もその商店が並ぶ通り近辺に店を持っていて、その店を1人で切り盛りしているという点です。」
「……単なる金目当てでは無い…か。」
「恐らく。」
「まあただの金目当てなら後ろからひと殴りで事足りるからな。」
「……知った風に言わないで下さい。何だかとても不安になりますので…。」
「 いや、僕も善良な町人相手には「それ以上は聞きたくありませんっ!!」
李順の顔は酷く蒼ざめている。
「ですので!管轄の警備所が見廻りの強化と傷害事件の詳しい捜査をするとの事ですよッ!!」
お分かり頂けましたか!?と言いながら、ぐいっと書簡を突き出して来た。
「……わ、わかった。」
黎翔は躊躇いつつ書簡を受け取った。
傷害事件の詳細が地図と合わせて分かりやすく書かれている。

ええと、ここが大通りだから……。

黎翔は無意識に夕鈴のお店の場所を探していた。


夕鈴のいる饅頭屋…の…女将も被害者……?
しかし先程李順は1人で店を切り盛りしている者が狙われたと話していたが…。


「それと、もうひとつ陛下にご報告をと思いまして。」
「ああ、なんだ?」
黎翔は書簡に見入ったまま返事をした。

「臨時妃の件ですが、次は呂 彩月という方に決めさせて頂きました。性格は極めて真面目だそうですから、今回の様な事はないと思われます。」

「そうか、分かった。呂 彩月だね。」
そう言うと、また傷害事件の詳細に目を向けた。


臨時妃など、誰が来ても自分がする事は対して変わらない。
次は鬱陶しくない者ならそれで良い。

それよりも今は夕鈴の店の女将の詳細を読む方が重要なのだ。


「ああそれから、前回第一候補だった汀 夕鈴ですが、今回も否との返答でした。
…もう候補者から外そうかと考えているのですが、宜しいですか?」

「ああ、汀…ゆうりん……?」

「ええ、今回もまた住み込みする余裕が無いと断って来ましたので…。」

李順は数枚の書類を黎翔に手渡した。

汀 夕鈴。

其処には夕鈴という名が。


そうか……。
何処かで『夕鈴』という名を聞いた事があると思ったら…。
以前臨時妃の話を断って来た汀…、汀 夕鈴か!


│posted at 22:18:20│ コメント 0件
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