2015.12.19(土)

小犬陛下と饅頭屋 4-6

【下町 饅頭屋前】


下町の朝は早い。
日が昇る前から人々は起床し、朝日が差し込み始める頃には身支度を整え、それぞれの仕事へと向かう。

商店が並ぶ大通りなども、朝日が昇る頃には多くの人が行き交い、知り合いに会えば挨拶を交わす。

そんな中、ぎゃあぎゃあと朝からテンションの高い二人の男女が並んで歩いていた。


「もう、ホント毎朝必要無いって言ってんのに!」
「別にお前の為にわざわざ見送りしてるって訳じゃねぇよ!!
俺も毎日この先に用事があるから、ついでだっつってんだろうが。
逆に感謝されたっていい位だぜ。」
「ついでなんでしょう?
それで感謝しろって言われてもねェ。」



先日、新たに暴漢に襲われる事件が起きた。

今度の被害者は反物を扱う小さな店の若主人だ。
幸い何とか逃げ切り怪我は大した事なかったものの、余程怖かったらしくすっかり人に怯えて商売どころではなくなってしまった。
若主人はあっさりと店を閉め、遠縁を頼って商店通りから姿を消した。


今回事件があった場所は、自警団が何度も見廻っていた場所だった。
それが几鍔達も悔しくて堪らない。

自分達の隙をついたように行われた犯行。

見廻りの時間や場所を毎日変えるなど、几鍔達は計画を練り直す事になった。


そして、事件があった日から几鍔は毎朝夕鈴の見送りを始めた。
夕鈴は遠慮したものの、几鍔は仕事のついでだし、何よりバイトを紹介した責任もあるからと聞かなかった。



「あーもう、うるせーなー。
毎日ホント朝から元気だなぁ、お前はよォ。」
「いつでも元気一杯なのが私ってもんでしょッ!」
「へいへい。」
そうこう言い合っている間に夕鈴の通う店が遠くに見えて来た。
「じゃあ、俺はあっちだからよ。」

「うん、じゃあね几鍔。」

几鍔は夕鈴が饅頭屋の店舗近くまで行くのを見届けると、少し遠回りになった倉庫街の方へと歩いて行った。

│posted at 22:22:04│ コメント 0件
≫コメント 
≫コメントを書く







 削除や編集のときに必要です。
管理者にだけ表示を許可します。
プロフィール

えぐち

Author:えぐち
江口(。-_-。)と申します。
場合によって、漢字のみだったりひらがなだったり。
どうぞよろしくお願い致します。

当ブログは、原作・原作者様・出版社様とは一切関係がありません。
初めましての方は、『はじめに』をご覧下さい。

 
訪問者数