2015.12.19(土)

小犬陛下と饅頭屋 5-2

「良かったらここにある薪、割っておくよ?」
「え!?いやいや、結構ですから。
李翔さんは休んでて下さいっ!」
「んー、でも身体動かすとストレス解消出来るんだよねー…。やりたかったな〜。」


その姿は先程とは打って変わり、すっかりしょげかえった小犬のよう。


ええ…。
そんなにしたいものなの?
薪割りが……??

「そ、そりゃあ薪割りして貰えるなら助かりますし嬉しいですけど……。」
「じゃあ、決まりだね!」
「……あ、はい。」

黎翔の嬉しそうな笑顔に惹き込まれ、夕鈴は思わず頷いてしまった。



饅頭の生地をこねて、前日から仕込んでいた餡を包む。
そして出来たものから蒸して行く。

黎翔が薪割りを買って出てくれたお陰で、作業が随分と捗った。

火種を貰った御礼をする為、夕鈴は出来上がったばかりの饅頭を包み、店の外に出た。


「李翔さん?!」
「あ、もう出来たの?」
「おう、夕鈴ちゃんおはよう!」

夕鈴が裏口から出ると、李翔と隣の店のご主人が楽しそうに話していた。

「おはようございます!
えっと、李翔さんどうしたんですか……??」
「この兄ちゃんが、ウチの分もって薪を割ってくれてね!!助かったよ〜。」
仕事も早いし、凄いな兄ちゃん!!と肩を叩かれ、李翔も喜んでいる様だ。
「いや〜、夕鈴ちゃんにこんな男前の恋人がいるなんて知らなかったな〜。」
「こ、恋人じゃないですッ!
全く全然そんなのじゃないですからッ!!」
すぐさま夕鈴は真っ赤になって否定した。

……おやおや。

総菜屋の主人は、夕鈴の後ろで寂しそうな表情になった李翔を見てにやりと笑った。

「ん〜?そうか??
こんな朝から店ェ手伝ってるから俺はてっきりそうかと思ったのに。何だ違うのか〜。」
「もう、旦那さんはいっつも憶測でモノを言って…!
大概にして下さい!!」
そう言いながら饅頭を手渡すと、ご主人は待ってました!と言わんばかりの笑顔になった。
「いつもありがとうよ!」
「こちらこそ、いつもありがとうございます。」
「じゃあ、コレは薪割りの御礼だ。兄ちゃん、二人で食べなよ。」

隣の総菜屋さんこだわりの看板商品肉団子。

「「ありがとうございます。」」

夕鈴と李翔の声を揃えたようなお礼の言葉。

息もぴったりなのになぁ…と総菜屋の主人は思わず声を出して笑った。


│posted at 22:30:50│ コメント 0件
≫コメント 
≫コメントを書く







 削除や編集のときに必要です。
管理者にだけ表示を許可します。
プロフィール

えぐち

Author:えぐち
江口(。-_-。)と申します。
場合によって、漢字のみだったりひらがなだったり。
どうぞよろしくお願い致します。

当ブログは、原作・原作者様・出版社様とは一切関係がありません。
初めましての方は、『はじめに』をご覧下さい。

 
訪問者数