2015.12.24(木)

小犬陛下と饅頭屋 5‐5

「さ、ではお饅頭の蒸しあがりまでにコレも頂きましょう?」
夕鈴が笑顔で隣の主人がくれた肉団子を取り分ける。

「じゃあ…。」「「いただきます。」」

2人同時に一口大の肉団子を頬張る。

肉団子は肉汁が溢れる程に柔らかく、肉と中に入っている野菜の旨味が絶妙に混じり合い、何とも言えない美味しさだった。

「これは……美味しいね!」
「んん〜〜!!美味しいですよね!
滅多な事がないとこの肉団子は食べられないんですけど、今日は李翔さんのおかげで食べる事が出来て幸せです〜!!」
眼を輝かせながら肉団子を食べる夕鈴。
また一口入れてはやっぱり美味しいわ〜と満面の笑顔になる。

こんなに嬉しそうに何かを食べる子、初めて見た……!

「李翔さん、本当にありがとうございます!」
嬉しそうにお礼を言う夕鈴を見て、黎翔は思わず胸元に入れている小箱を服の上から触れて確認した。

肉団子でこんなにも嬉しそうにしている夕鈴だ。
この贈り物に、どれほど喜んでくれるのだろうか……。


「あのね夕鈴。」

どこか緊張した面持ちの李翔は、肉団子を食べ続けている夕鈴に話しかけた。

「ん、なんでふか?」(モグモグ)
「実は、今日はお饅頭の他にもう一つ用事があって来たんだ。」
そう言うと、李翔は懐から細長い木箱を取り出した。

木箱には光沢のある鮮やかな朱色の紐が花模様に結ばれている。

「それは……?」
「夕鈴、先日は絡まれてたところを助けてくれて……ありがとう。
これはその御礼に、君に贈らせて欲しい。」
「ええ〜!?いや、あの事は本当に気にしないで下さい!……むしろ私の知り合いが…申し訳ありませんでした!!」
改めて謝罪をする夕鈴を手で制する。
「いや、彼らも町の為にした事だろう?
それはいいんだ。」

李翔は立ち上がり、夕鈴の手を取った。
「でも、あのままだとずっと彼らに付き合う事になってただろうし…。
とにかく、僕はとっても助かったから…。
だから、御礼に…これを受け取って欲しい。」

そして両手で夕鈴の指先を包み込んだ。

「!!」

夕鈴はそっと手を離そうとしたが、李翔の手が絡み付いて離れない・・・。



「夕鈴、どうか受け取って?」



│posted at 15:04:43│ コメント 0件
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