2015.12.24(木)

小犬陛下と饅頭屋 5-6

《贈り物を君に》

何故か切なげに見つめて来る黎翔。
顔の距離も随分と近い。

「いや、でも……。あの……。」

美形の男性の顔を間近で見るのも初めてでどう答えて良いの分からなくなる程動揺してしまう。

「夕鈴……。」

自分の名前を呟かれるだけで、頬が熱くなってくる。

「ちょっと…!李翔さんッ!!は…離して下さいっ!!」
「……やだ。」
ぽぽんっと夕鈴の顔が更に赤くなる。
「やだって何ですかッ!」

「じゃあ……受け取ってくれる?」

下がりきった眉。
捨てられそうになっている小犬の様な表情……。

そんな李翔の様子に負けて、夕鈴は思わず頷いてしまった。

「本当?!あぁ、良かったぁ!」


李翔の幸せそうな笑顔を見た瞬間、胸がドクンッと跳ねた気がした。

ああ、何だか無性に可愛いく見えるわ…。
美形は本当に得だわね……!!
こんなにも言うこと聞いてあげたくなっちゃうんだから……。

夕鈴は素早く李翔から手を離した。

「でも、本当に頂いて良いんですか…?」

「もちろん…!君が使えるようにと思って選んだから…。」

李翔は嬉しそうに椅子に戻って、卓上に置いた木箱を夕鈴の前にそっと差し出した。

長方形の木箱を見つめる。

……私が使えるように……?

「開けてみても…良いですか…?」
「うん!!開けてみて!」
李翔は笑顔で何度も首を縦に振る。

夕鈴はもう一度箱の大きさを確認する。

丁度、しゃもじか小さなオタマが入るサイズね。
…やっぱり…しゃもじかしら?
木箱に入ってるなんて…もしかして凄く良い物なのかも…。

ご飯粒が絶対にくっ付かない……とか!!

ワクワクしながら紐を解き蓋を開けると……。


中には。
光沢のある布に包まれた、見事な細工がふんだんに施された簪が鎮座していた。



何コレ………。
夕鈴は固まった。



簪には濃い金色の大きな花飾りがついており、細部に至るまで細やかな飾り彫りが施されている。

花の先端には蝶が優雅に羽根を広げており、その羽根には様々な彩りの透き通った珠が細かくはめ込まれまるで生きた蝶の様だ。

驚きのあまり箱を持つ手が揺れる…。

その揺れで蝶の羽根の先に幾つも付けられていた小さな宝石や金の飾り達がぶつかり合い、しゃらんっと優しい音を奏でた。



こ……これは一体いつどんな場面で付ける物なの……!?
以前、遠目に見た貴族の女性が似たような物を付けてたかしら。
うん、付けてたかも。

いや、それもこんなに眩くはなかったけど…。


李翔は酷く動揺している夕鈴を不思議そうに見つめていた。

│posted at 15:06:40│ コメント 0件
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