2015.12.24(木)

小犬陛下と饅頭屋 6-3


「では・・・期限が来るまでは、きっちりと努めよ。」

陛下の声は、徐々に低くなっていく。
「……本物に見える…臨時妃として、な。」

「あ……?
は…い、臨時妃として…。」
色々と期待していただけに、その言葉にあからさまにがっかりする臨時妃……。

「仕事があるのでもう少ししたら戻る。
暫くはここで仕事をするので……邪魔をするな。」
表情は柔らかだが、口調は厳しい。
恐ろしいと噂の冷酷非情の狼陛下。
何故かは分からないが、その人が苛立っているように見える……。

「はい……畏まりました……。」
陛下の様子に怯えた臨時妃は、すごすごと寝室へと引っ込んだ。




【白陽国王宮 執務室】


「如何しましたか?そんなにニヤニヤと……。
……まさか臨時妃と何か?!」
その途端、それは嫌そうな顔になる黎翔。
「絶対にそれはない。」

「今日の臨時妃の姿が凄くてな。
……久々に後宮の本来の姿を見たよ。
益々鬱陶しさに拍車がかかったな。」

着飾った臨時妃の姿は、まさに……本物の妃。
記憶の片隅にある本物の毒花の姿だった。

「ああ、今日は殊の外艶やかにしておりましたね。
まぁ、あの位が丁度良いのではありませんか?」
御寵妃様らしくて、と言いながら李順は書類の束を黎翔の前にドサッと置いた。
より険しくなる表情。
「……全く……下らんな。」
そう言いながら書類を手に取った。
そのままの表情で黎翔は仕事を続けていたが、暫くするとふと笑顔に戻る。
李順はそんな黎翔を不思議に思いながら見ていた。



豪奢に着飾った臨時妃。

倹約を信条とする夕鈴とは真逆の姿だ。

今日夕鈴が受け取りを拒否した簪と似た様な物が、幾つも髪に飾られていたが、夕鈴が見たらどんな御説教をするだろうか。

『こんなに何本も……無駄です!!』
『え?この衣装は一枚で十分ですよね!?』

驚きつつもビシバシと駄目出しする夕鈴の台詞が容易に想像出来て、思わず笑いが込み上げてくる。




夕鈴はやっぱり面白い妃になるんだろうな……。

……次はデートの約束が待っている。
その時間の為なら、仕事も軽く頑張れそうだ。


次に会う約束をしただけでこんなにやる気が出るなんて思わなかった。
ミスをした官吏達にも何故か優しく対応出来たし、そのおかげで官吏達にもやる気が出て随分と仕事が進んだ。


夕鈴が臨時妃になって、直ぐに会えるようになったら……もっと仕事が捗るのだろうか……。


│posted at 15:49:30│ コメント 0件
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