2016.01.15(金)

李順の謀 (オマケ)

「大丈夫でしたか?」

力なく座り込んだままの女官に声を掛けた。

ーー彼女も伝言を伝えに来ただけで、とんだ災難に遭ってしまったものだ。

「は、はい…。」
遠くを見つめていた女官の眼が、ゆっくりと李順に向く。

「立てますか?」

普段陛下の側近として厳しい顔で仕事を裁く李順が、優しく声を掛けながら手を差し伸べている。

その様子に女官はかなり驚いたが、そのお陰か先程の恐怖から解放され、何とか動けそうだ。
少し迷った後、折角なので李順の手を借りる事にした。
「ありがとうございますーーあ、あら?」
李順の手を取り立ち上がろうとした…が、膝に力が入らずまた床に座り込んでしまう。
「膝が…力が入らなくて…。」

「…あの狼陛下ですからね。
あの方に詰め寄られれば、まあそうなるでしょうね。」
李順は何度目かの深い溜息をついた。
「ー…直ぐに立退きますので。」
女官としても、ずっと男の部屋にいる訳にいかないのだろう。
彼女の表情に焦りが見え始める。

「この後の仕事は?」
「え…?あ、ええと、陛下がお妃さまの元へ行かれましたので、…私は1度王宮の方の詰所に戻り女官長様に報告をする予定でございました。
その後は女官長様の指示に従う事になっております。」

「そうですか。では詰所に向えば良いのですね?」
「え?」

李順は女官の側に膝をつくと、優雅な所作で彼女を抱え上げた。

「お嫌なら近くで降ろして差し上げますので、我慢せず言って下さい。」

至近距離に李順の端正な顔がある。
女官は小さく頷く事しか出来なかった。



その後、女官を抱えたまま王宮女官の詰所に連れて行った李順は、普段あまり見せない優しさが大受けし女官達の間で人気急上昇。

縁談がめっちゃ増えた。

│posted at 19:53:40│ コメント 0件
≫コメント 
≫コメントを書く







 削除や編集のときに必要です。
管理者にだけ表示を許可します。
プロフィール

えぐち

Author:えぐち
江口(。-_-。)と申します。
場合によって、漢字のみだったりひらがなだったり。
どうぞよろしくお願い致します。

当ブログは、原作・原作者様・出版社様とは一切関係がありません。
初めましての方は、『はじめに』をご覧下さい。

 
訪問者数