2016.01.15(金)

陛下、ご褒美を楽しまれる。 2


「陛下?」

「えっと、ちょっと、大丈夫じゃないかも。」
思わず考えた事が口に出てしまった。
口元を手で覆い、視線を逸らす。

ーーこれは本当に危ないな。

「ええ?!やっぱりっ!
よっぽどお仕事ぎっちりみっちりだったんですね…。」

どうしましょう、何か私に出来ませんかね、と僕の為に真剣に悩んでくれる夕鈴を見て、じんわりと暖かい気持ちになる。

「ごめんごめん。本当は大丈夫だよ。」
「え?でもお顔の色も…。」
「ちょっと寝不足なだけだから。ね?」
其れを聞いた夕鈴は、僕と長椅子を交互に見た。

「では、此方で少しお休みされて行ってはいかがですか?
少しでも横になると、疲れが取れて身体が軽くなりますから。」
「うーん、でもここはこの長椅子しか無いし。
僕、夕鈴を立ちっぱなしにはさせたくないな。」

ーーもちろん夕鈴と離れて1人で休む気も、さらさら無い。

「え〜…私、立ってる事位どうって事ないですよ?ではお部屋の方に行かれ「ダメ。僕1人で此処で休むのも嫌。」
夕鈴の言葉を遮り提案を拒否する。

「何でですか!お疲れなんですから、ゆっくり休んで下さればいいのに。」
もうっ!と言いながら顔を背けた。
ぷっくり頬を膨らませた夕鈴はもう最高に可愛い。

ーー頬くらいなら触れて良いよね?

そっと片手を伸ばそうとした時、何かを思い付いた夕鈴は勢い良く此方に向き直った。
「なに?」

「では陛下!
膝枕なら、陛下がお休み出来て私も座ったままでいられて、2人の意見が通ります!
いかがですか?」
満面の笑みで頷いている。


ーー膝枕?今の思考の鈍った状態の僕が??
…無理じゃない?
そりゃ夕鈴の膝枕は捨て難いけど。

絶対柔らかい太ももの感触や、垂れて僕の顔をくすぐる髪、頭を撫でる指先、そして下から見上げる夕鈴の……。


ーー無理無理。絶対に今日は無理。

何かやらかして…嫌われて、今この距離感を喪うのが恐ろしい。


「…陛下?」
直ぐに返事が出来なかった僕を見て、夕鈴は不思議そうに首を傾げた。


「ーねぇ、夕鈴。
今日は、久々に夕鈴とこうやって一緒に居られるから。」

そっと夕鈴の手に自分の手を重ねる。

ーーこれで今日は充分だから。


「それだけで私は癒され、満たされている。」
「なっ!!」
突然の狼陛下に夕鈴の身体が強張る。

「膝枕…は次の機会にじっくりと堪能させて貰おう。」

そう言いながら真紅に染まった頬をそっと指先で撫でると、もう眼がグルグルなっている。

ーーやっぱり可愛くてやり過ぎちゃうな。

「へーかっっ!!今は演技いりませんっ!」
「ごめんごめん。
では、我が国1番のお茶菓子を頂こうかな。」
眼を細めて夕鈴を見つめる。
「ま、また演技入ってますッ!
もういいですから、早く食べて下さい!!」


賑やかなお茶の時間。
側に居るだけで、こんなにも楽しく過ごせる。

これだけで今日は充分だよ。



今日は、ね?

│posted at 20:01:57│ コメント 0件
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