2016.03.14(月)

悩み事 2

【二次創作SS】【妓館の騒動後暫く経ってからの完全妄想】【水月と方淵のやり取りメイン】【糖度zero】




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「全く、あの妃は!陛下の妃嬪としてまだまだ力不足の様だ。…やはり変わってなどいないっ!」

「いや、あの、方淵?」

突然怒り出した同僚に戸惑ってしまう。
まさかとは思うが、方淵は…。

「一体何を我慢なさっておられたのだ!!」

「ええ?!いや、何をって言われても。」
お妃様が変わられた理由…それを答える事は出来ない、と先程方淵が言葉を濁していたが、あれはまさか内容が言い難いのではなくて、本当に何が変わったのかは分からなくて言い淀んでいただけ…?

「早く言えっ!」
「君、さっきお妃様の変化に気付いたのは、久しぶりにお会いした時って言ってたよね?」
「水月!そんな事より陛下の事はどうなのだっ!!」
「や、その前に。その時のお妃様がどんな風に見えたの?」
「はぁ?お妃は…なんか知らんが更に気が強くなった…様に見えた。今迄以上に気迫の籠った睨み具合だったからな。…あれは凄まじかった。」

「…え〜…。」

方淵は、本気でお妃様の変化の理由に気が付いてないようだ。これはマズイ。
「で、どうなのだ?陛下は何を我慢しておられたのだ!?」
「……。」

その時、協議の時間になったのか、向こうからぞろぞろと他の官吏達がやって来るのが見えた。
「あ、方淵、もう時間みたいだよ。」
「だから!」
「ほら、陛下が来られる前に部屋に入っておかなくて良いのかい?」
「…!!」

それ迄、怒涛の勢いで水月に詰問していた方淵だが『陛下』という言葉に反応し、瞬時に冷静になった。
さすが方淵である。

「…陛下か。そうだな、仕方ない。では早く部屋に入ろう。」
方淵はすっと姿勢を正し、足早に会議の間に向かった。すっかり頭の中身が仕事の事に切り替わった様だ。
持っていた書類を読み直しながら方淵が部屋へ入って行くのを確認し、水月は深い溜息をついた。

言わなくて良い事を言い、余計な追求を受けた。それだけで随分気疲れしてしまった。
最近、方淵がお妃様の姿を訝しげに眺めている事が多くなったので、彼女の変化にとうとう気が付いたのか、やはり自分が感じていた事は正しかったのだ、そう思ったのに。とんだ思い違いだった様だ。
まあ、強くなった…というのも、きっと間違いではない。恐らくお妃様が本当の意味で妃嬪になられたが故の事だと思うが…。

自分もまだまだ『人を読む』力が足りないな。そう独りごちてゆっくりと立ち上がった。


ああ、疲れた。やっぱり今日はこのまま帰ろうかな…。

会議の間に背を向け歩き出そうとした途端、身体を刺される様な寒気に襲われた。
…遅かった、そう思うと同時に背後で声がした。
「何処へ行くのだ?水月。」
良く通る低く冷たい声。その声の主に礼を取って答える。
「いえ、陛下。……何処へも。」
「そうか、それは良かった。」
にやりと笑う狼陛下。

やはり自分の思う通りであれば、お妃様と同様に陛下も…変わられた。

以前にも増して、その姿は恐ろしくも威厳に満ち、より非情で強固な王としての強さを醸し出している。けれど、前よりも格段に、穏やかな表情をなさる事が多くなった。

それは、心身共に充ち満ちている余裕からなのだろうか。それとも、あのお妃様に染められたからなのだろうか。

「水月、…早く来い。」
「…はい。」
促されて仕方なく陛下の後ろへ付き従った。


ああ、早く帰りたい。きっと上手く帰らなければ、また方淵に先程の事を追求されてしまう。さて、どうしたものか…。

水月は憂いを含んだ溜息をついた。

│posted at 11:54:46│ コメント 0件
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