2016.03.25(金)

悩み事 ー解決ー 1

【二次創作SS】【妓館の騒動後暫く経ってからの完全妄想】【水月と方淵のやり取りメイン】【糖度zero】


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「それは…どういうことだ!?」

「声が大きいよ、方淵…。」
驚きの余りつい声が大きくなった方淵をたしなめる。

此処は王都でも最上級の高級料亭。
店内の彼方此方には、国宝になってもおかしくない様な品々が飾られており、店に来る上流階級のお客達の目を楽しませてくれる。

この店は料理の味と品質だけでなく、店の歴史とずば抜けて高い格式で不動の人気を誇っているのだ。

そして。
上流貴族の間でのみ……ではあるが、女将から下男下女に至るまで口の硬さまでも最上と名高い店だ。

普通の官吏がおいそれと入れる店ではない。
官吏の中でも氾家柳家の御曹子達だからこそ、特別待遇で奥座敷とその周りの個室全てを貸切に出来ている。

そんな場所でも、話題が話題だ。
慎重になってもなり過ぎる事はない。


「だから、恐らくだけれど…。お妃様がお戻りになる迄、お妃様に陛下の御手は付いて居なかったという事だよ。」

予想外の事で、水月の話が中々飲み込めない。
お妃は…妃嬪ではなかった?あの突然現れた時、あの時はまだ…無垢な…?

「いや、でもどうしてだ!?」
「さて。色々と考える事は出来るけれど…。恐らく初めは花嫁の振りをするよう雇われていたのではないかな。」
「雇われて?」
少し考えると、ぼんやりと一つの可能性が見えてきた。
「…そうか、陛下はあのお妃が後宮に現れてから『妃は一人で良い』と縁談を退ける様になった…。その為か。…しかし。」
「そう、自分の娘を後宮に入れたがっていた方々は黙って居ないよね。」
「…貴様の父親を含めてな。」
「ふふっ」
水月は困った表情のまま笑みを浮かべた。

「では、まさかと思うが…本当の目的は囮…か。」
「そう考えると、身分もなく位の低い妃が、ただ一人寵愛を受けているのは当然だったわけだよ。」
「成る程な。縁談避けにも囮にもなる花嫁か。…便利だな。」
「出自不明と言う事だけど、恐らく庶民から見繕ってきたのだろうね。」
替えがきくだろうから、と水月は憂い顔で呟いた。

あのお妃様は…きっと全てを知った上で囮になられていたのだろう。陛下の為に、と。

「我々はすっかり騙されていた訳か。」
「…そうだね。だけど…。私は騙されて居た事はまあ良いかなと思っているんだ。」
そう言うと水月は穏やかに笑い眼を伏せた。

「…。」
「陛下にもご事情がおありだろう。それにね、あのお妃様は陛下の為に常に一所懸命だった。後宮から去られた後も…。そして、我々に対しても何時も本気で心配し、助力を惜しまず奔走してくれていた。…こんな方はお妃様をおいて他には居ないよ。」
「…。臣下の世話を焼いたり、潜入捜査を自ら決行するお妃など、まあ他に居る筈ないな。」
方淵の口元が僅かに緩む。

この男が笑うなんて珍しい事だ、と思わず水月も微笑んだ。
「だから、あのお妃様なら良いかな、と思うんだ。例え雇われていた庶民だったとしても、あの方なら…心からお仕え出来るよ。」
「…ふん。」

自分だって別に身分で蔑んだりはしない。どんな理由でお妃になっていても、あの娘はあの娘だ。

そう思いながら方淵は持っていた杯の酒を一気に飲み干した。

│posted at 14:31:38│ コメント 0件
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