2016.03.25(金)

悩み事 ー解決ー 2

【二次創作SS】【妓館の騒動後暫く経ってからの完全妄想】【水月と方淵のやり取りメイン】【糖度zero】


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「まあ、これらは私の憶測に過ぎないよ。
調べてハッキリさせる事は…多分不可能だろうからね。」
水月は残念そうな顔で微笑む。

「…あの隠密も居るだろうしな。」

お妃が妓館に潜入する時に付き従っていたあの背の低い少年のような男。
……恐らく陛下直属の隠密だろう。
陽気でお気楽な物言いをしていたが、身のこなしは只者ではなかった。
これでも小さな頃から武術の心得はあるし、そこらの武官に引けは取らないつもりだ。
それでも……例の隠密にはきっと敵わない。

そんな隠密が今もきっとお妃様の周囲を護って居る。

その身も、出自も…。秘め事も全て。


「まあ、今となっては調べて見たところでお妃様が妃嬪であられる事に変わりはないだろうからね。きっと面白いものは出てこないよ。」
「面白いとは何だその言い方は!」
「例えば、仮の閨とはどんなものなのか、とか?」
途端に、方淵は真っ赤になって怒り出した。
「水月っ!貴様ッ!!」
「だから、声が大きいよ方淵。」

その方面の事になると冗談も通じないのかこの男は。水月は小さな溜息をついた。

「とにかく、お妃様の事を詳しく調べようなどとは思っていないよ。
それより……これからの事だ。」

「これから、か。」

ふと陛下とお妃の仲睦まじい姿が思い浮かんだ。

「陛下は一度お妃様を退宮させていらっしゃるけれど、今の仮説の通りだと…。」
「…仮の妃として解雇したから…だろうな。」
方淵の言葉に水月は小さく頷いた。
「陛下はお妃様を想って手放されたのだろうね。…宮廷に不穏な動きもあったし。」

「お妃を想って…。」

お互いを想いあって…。

陛下はどれほど悩まれたのだろうか。
あのお妃はどれほど苦しんだのだろうか。

「陛下が妃にと望めばどんな娘でも後宮に置ける。それをなさらなかったのは、本当にお妃様の事を大切に想われていたからだろうね。
後宮は…後ろ盾がないと直ぐに命を狙われる危険な場所だから。」
「それでもあのお妃は舞い戻って来たのか…。」

憎々しげに方淵が呟いたが、恐らくお妃様を心配して怒っているのだろう。

「私達も其れを望んでいたじゃないか。」

「私は望んでなど…いないっ!!」

「…すぐ怒鳴りだすのは、本当にやめた方が良いと思うよ。」
もう諦めそうになりながらも、同僚に苦言を呈す。
本人には全く届かないかもしれないけれど。
「とにかく、お妃様は本当の狼陛下の花嫁になられたが、まだまだお二人には問題が山積みだろうね。」
「まあ、周りからすればただ妃が出戻ってきただけの話しだからな。何ら今迄と変わらん。地位も、待遇も、…危険も。」

それに今度は本当に下賤の妃と蔑まれる事になるのだ。

だから…あれ程の気迫を見せていたのか。
お妃が強くなったのは、陛下のお側に居るための覚悟からだったのだろう。

「…私としてはお妃様が居られない時の極寒王宮なんてもう懲り懲りだからね。こうなったらお妃様が後宮にお留まり下さる為なら、出来るだけお力になるつもりだよ。」

「軟弱者めっ!」

方淵は一瞬顔を顰めたが、直ぐに元に戻った。

「…だが!…陛下の為になら…。私もお妃の助力でも…なんでもしてやる。」

その言葉に笑いながら水月が酒を差し出し、空になっていた方淵の杯に注いだ。
そして徐に自分の杯を掲げる。

「では、全ては陛下とお妃様の為に。」
「…陛下の為に、だけで良い。」

方淵はそう言いながらも杯を掲げ、二人同時にそれを煽った。




そして。



その様子を見届けた小さな影が、ゆらゆらと動いた。

……笑っている様だ。

「お妃ちゃんが居ると、こんなおもしれーもんが見れんだなー。」

そう笑いながら呟くと、影は瞬く間に闇夜の中に消えていった。
│posted at 14:34:17│ コメント 0件
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